企業SEOは「自社メディア一択」じゃない。noteは今から始める企業向き
企業で情報発信を検討するとき、必ずといっていいほど出てくる議論があります。
SEOをやるなら、自社メディアを作ったほうが良いのでは?
noteは便利そうだけど、結局は「借り物」では?
将来的な資産にするなら、自社ドメインじゃないと不安。
noteはSEOに強いと聞くけど、企業サイトのほうが良いのでは?
こうした迷いが出るのは自然です。
ただ、結論から言うと「自社メディア一択」と決めてしまうのは、少しもったいない選択になりやすいです。
なぜなら、企業のSEOは「媒体の正解」を当てるゲームではなく、
自社が止まらずに継続できて、一次情報を積み上げられて、読者に信頼される状態を作れるかが勝負だからです。
この記事では、
「企業SEO=自社メディアが王道」という前提をいったん脇に置きながら、
それでも企業がnoteを選ぶ価値がある理由を、実務目線で整理していきます。
読者は「企業の広報・営業・IT担当者」の方を想定しています。
SEOの専門家でなくても、社内で判断しやすいように、手順と考え方を丁寧にまとめます。
企業SEOの前提が変わっている:媒体より「信頼される中身」が重要
SEOは昔から「テクニック」の印象が強いですが、近年は特に、
誰が・どんな経験にもとづいて・どれだけ誠実に書いているかが重要になっています。
Googleは、品質評価の観点として「Experience / Expertise / Authoritativeness / Trust(いわゆるE-E-A-T)」を示しています。
また、検索上位を狙ううえで「人のために書かれた、信頼できるコンテンツ」を重視する方針も明確にしています。
つまり、企業SEOで強いのは、
小手先のSEO記事を量産できる会社ではなく、
現場の一次情報を、わかりやすく、誠実に積み上げられる会社です。
この前提に立つと、選択肢はこう変わります。
- 自社メディアを作るかどうか以前に「発信を止めない仕組みがあるか」
- 読者の不安を減らす一次情報が社内にあるか
- それを“人が読める文章”にして継続できるか
この条件を満たすなら、noteは十分に戦えます。
逆に、ここが整っていないまま自社メディアを作ると、サイトは立ち上がっても更新が止まり、結果として“資産化”しません。
「自社メディア一択」になりがちな理由と、見落とされる落とし穴
企業内で「SEO=自社メディア」となりやすいのは、理由があります。
よくある主張は次の通りです。
- 自社ドメインは資産になる
- URLが自社に残る
- データも自社で持てる
- 設計の自由度が高い
- 将来的に広告やMAとも連携しやすい
ここまでは正しいです。
ただ、実務上の落とし穴もあります。
落とし穴1:立ち上げのコストと意思決定コストが重い
自社メディアを始めると、ほぼ確実に次が必要になります。
- サイト設計(カテゴリ、タグ、導線、テンプレ)
- CMSや更新体制(誰が、どう更新するか)
- 公開前のチェック・承認フロー
- SEO設計(狙うテーマ、内部リンク、既存ページとの棲み分け)
- 改善(Search Console / GA、リライト、記事統廃合)
「始めるまでの会議」と「始めた後の運用設計」が重くなり、
更新が止まりやすいのが、実は一番のリスクです。
落とし穴2:「SEO記事」を書こうとして企業らしさが消える
自社メディアだと、
“SEOの型”に寄せすぎて、どこにでもある一般論になってしまうことがあります。
その結果、
検索では勝てず、営業や採用にも効かない、という中途半端な状態になりがちです。
落とし穴3:「作っただけで安心」してしまう
サイトを作ると、社内では達成感が出ます。
でもSEOは“運用の競技”です。
- 更新が続く
- 記事が改善される
- 一次情報が追加される
- 内部リンクが育つ
この積み上げがないと、資産にはなりません。(1個では資産になりえませんしね)
noteが「今から始める企業」に向いている理由
ここからが本題です。
noteを選ぶ価値は「手軽だから」だけではありません。
理由1:発信のスタートが速く、継続に乗せやすい
noteは、
サイト構築やCMS設計なしで、すぐに公開まで進められます。
「まず1本出す」「まず5本出す」という初速が出るので、
社内の熱量が冷める前に、運用の型を作れます。
実務ではこれがかなり大きいです。
企業の発信は、最初の一歩が一番重いからです。
理由2:一次情報と長文が活きる(企業が強い領域で勝てる)
企業が書ける強いコンテンツは、だいたい次のどれかです。
- 現場で得た具体的な知見
- 意思決定の背景(なぜそうしたか)
- 失敗と学び(やってみて分かったこと)
- 事例のプロセス(結果だけではなく過程)
- よくある誤解の整理(導入前の不安を減らす)
これは、Googleが示す「人のための信頼できるコンテンツ」に直結しやすいです。(guidelines.raterhub.com)
理由3:SEOだけでなく、営業・採用・広報に同時に効く
noteは「検索のためだけの場所」になりにくいです。
企業の文脈が載るので、自然に次へ転用できます。
- 営業:商談前の理解促進、よくある質問の前捌き
- 採用:企業文化や仕事のリアルの提示(ミスマッチ低減)
- 広報:企業姿勢や価値観のストック
つまり、
SEOが多少うまくいかなくても、他の価値が残りやすい。
ここが、自社メディア一本足より“リスク分散”になります。
理由4:法人運用の選択肢(note proなど)もある
法人向けの「note pro」という選択肢もあり、
オウンドメディア運用を前提にした導入ガイドも公開されています。(note pro公式 | 法人オウンドメディアをかんたん、すぐに立ち上げ)
また、運用上の権限管理など「法人運用で気になる点」についてのヘルプ情報もあります。(ヘルプノート)
「個人の発信ツール」ではなく、企業運用として検討できる土台は整っています。
企業がnoteを選ぶべきケース、選びにくいケース
ここは判断しやすいように、条件で整理します。
noteが向いている企業
- まずは発信を止めずに続けたい
- 社内に一次情報(現場の知見、事例、判断の背景)がある
- 広報・営業・採用を横断して“企業理解”を深めたい
- いきなり大規模な投資や体制構築が難しい
- 自社メディアを作る前に、コンテンツの核を育てたい
noteが向きにくい企業(または注意が必要)
- 商品点数が多く、カテゴリ設計・商品導線が重要(ECなど)
- 強いコンバージョン設計が必須(LP中心で回す業態)
- 厳密な法務・規制対応が頻繁に必要(運用フローが重い)
- コンテンツの自由度より、完全な統制が最優先
向きにくい場合でも、
「採用・文化・事例の発信」だけはnoteでやる、という分業はよくあります。
noteでSEOを狙うときの「基本設計」:自社メディアと同じ考え方でOK
ここは誤解が多いのですが、
noteでSEOをやるときも、基本は同じです。
1)狙うキーワードは「読者の不安・検討」に寄せる
企業noteで強いのは、一般論のビッグキーワードではなく、
検討フェーズの不安に刺さるテーマです。
たとえば、BtoBならこのあたりが強いです。
- 「よくある失敗」
- 「導入前の注意点」
- 「比較・選び方」
- 「向いているケース/向いていないケース」
- 「費用の考え方(相場断定ではなく、構造の説明)」
- 「検討プロセスの整理」
ここで大事なのは、
“売る”ではなく“判断材料を渡す”ことです。
結果として、問い合わせ前の納得が進みます。
2)タイトルは「何の記事か」を明確にする
Googleも、タイトルリンクは重要で、内容を正確に表すことを推奨しています。(Google for Developers)
企業noteのタイトルでは、次を意識します。
- 誰の、どんな悩みを解決する記事か
- 記事で扱う範囲はどこまでか
- 抽象語だけで終わらないか(例:「想い」だけ等)
例(型)
- 「○○の導入で失敗しないために:検討前に決めるべき5つ」
- 「○○が続かない原因:現場で起きがちな7つの詰まりポイント」
- 「○○の比較で迷う人へ:判断軸の作り方」
3)構成は「結論→理由→具体例→次の行動」
noteは長文が読まれやすい反面、
最初の数十秒で「読む価値」が伝わらないと離脱します。
おすすめはこの順番です。
- 冒頭:読者の状況(困りごと)
- 結論:この記事で分かること
- 背景:なぜその問題が起きるか(構造)
- 具体:事例、プロセス、判断軸、チェックリスト
- まとめ:次にやること(小さく)
Googleの「人のためのコンテンツ」方針とも相性が良い流れです。(guidelines.raterhub.com)
4)“一次情報”を足す:これが企業の最大の武器
一次情報は、難しいデータである必要はありません。
現場の言葉で十分です。
- 検討時に実際に出た反対意見
- 迷ったポイント
- やってみて分かった落とし穴
- 成功要因と、再現しない条件
- 「こういう会社は合わない」も含めた誠実な線引き
これが読者の不安を減らし、信頼につながります。
結果として、SEO評価にも寄与しやすいです(経験の要素)。
「noteは借り物で不安」を現実的に処理する:リスクと回避策
noteを嫌がる最大の理由は、ここです。
なので、精神論ではなく、実務で処理します。
リスク1:プラットフォーム仕様変更の影響
回避策は、次の2つです。
- 重要記事(会社の根幹、採用・営業の柱)はバックアップを持つ
- 後から自社メディアへ移す前提で「核となる記事」を育てる
最初から完璧に作る必要はありません。
“育てながら移せる形”にしておくのが現実的です。
リスク2:自社ドメインの資産にならない
ここも、二段構えで考えると整理できます。
- noteは「企業コンテンツの研究・育成の場」
- 自社メディアは「資産の集約・導線の最適化の場」
最初から自社メディアで全部やろうとするほど、止まりやすいです。
先にnoteで勝ち筋(読まれるテーマ、書ける体制)を作ると、後工程が楽になります。
リスク3:社内で統制が取りにくい
回避策はシンプルです。
- テーマを3カテゴリに絞る
- 書き方のテンプレを決める
- NG表現(断定、誇張、守秘)をチェックリスト化する
- 最終確認者を固定する(増やしすぎない)
「厳格なルール」ではなく「止まらない最小ルール」が鍵です。
note→自社メディアは“順番”の問題:二択にしない戦略
ここが一番大事です。
noteを選ぶことは、自社メディアを捨てることではありません。
実務で成功しやすい順番はこうです。
- noteで発信を始める(まず5〜10本)
- 読まれるテーマが見える(反応、営業活用、採用反応)
- 柱記事を育てる(リライト、まとめ記事化)
- 自社メディアに集約するか判断する(必要なら移植)
この流れだと、
自社メディアを作ってから「何書けばいいの?」で止まる事故が減ります。
実践:noteを今から始める企業の「最短ロードマップ」
ここからは、明日から動ける形に落とします。
Step1:目的は1つに絞る(最初だけでOK)
最初は欲張らないほうが成功します。
- 採用を強化したい
- 営業の前捌きをしたい
- 企業理解(ブランディング)を深めたい
どれか1つに寄せると、テーマが決まり、迷いが減ります。
Step2:読者を「役職の一人」に決める
おすすめはこの粒度です。
- 情報収集中の広報担当
- 営業で提案をまとめている担当
- 採用でミスマッチに悩む人事担当
- 企画を推進したいIT担当(社内説得が必要な人)
「この一人に刺さるか?」で書くと文章が具体化します。
Step3:テーマカテゴリを3つに絞る
運用が止まらない型です。
- 課題整理(よくある失敗、誤解、検討ポイント)
- 事例・取り組み(プロセス込み、学び込み)
- 価値観・判断基準(なぜそうするか、線引き)
この3つで、
「役に立つ」「信頼できる」「どんな会社か分かる」が揃います。
Step4:最初の10本のネタを“会議で”作ってしまう
担当者が一人で抱えると止まります。
最初だけでいいので、関係者で30分〜60分取り、10本分のネタを出します。
出し方(テンプレ)
- よく聞かれる質問は?
- 検討時に必ず迷うポイントは?
- 失敗しやすい落とし穴は?
- 「うちはこういう依頼は合わない」も含めると?
- 最近、社内で議論になったテーマは?
Step5:導線を“最初から”作る(SEO以外の勝ち筋)
noteは書くだけで終わると、効果が見えにくいです。
最初から、使いどころを決めます。
- 営業:問い合わせ返信メールに「検討の参考」として貼る
- 採用:応募前の案内ページや面接案内に貼る
- 広報:会社紹介の「初めての方へ」記事にまとめる
この導線があると、PVが少なくても「役に立ってる感」が出て、運用が続きます。
よくある質問:企業がnoteを選ぶときに詰まりやすい点
Q:noteはSEO的に不利になりませんか?
「媒体だけで勝てる/負ける」という見方より、
いまは「中身の信頼性」「一次情報」「読者の役に立つか」が重要です。
noteでも、課題整理・導入検討・一次情報のテーマは相性が良いです。
Q:自社メディアがあるのにnoteもやる意味はありますか?
あります。
むしろ、役割分担すると強いです。
- 自社メディア:サービス導線、正式情報、CV設計
- note:背景、考え方、事例プロセス、現場の声(信頼形成)
同じ情報を二重に書くより、役割を分けたほうが運用が楽です。
Q:社内の承認が重くて止まりそうです
最初に決めておくと改善します。
- 最終確認者は固定(増やしすぎない)
- NG事項(守秘、誇張、断定)をチェックリスト化
- 文章のトーンは「やさしく、断定しすぎない」
“止まらない最小ルール”が正解です。
まとめ:noteは「妥協」ではなく、今から始める企業の現実解になりやすい
企業SEOは、自社メディアだけが正解ではありません。
大事なのは、媒体選びよりも「止まらずに信頼を積み上げる仕組み」です。
整理すると、noteが企業にとって有効になりやすい理由は次の通りです。
- 立ち上げが速く、継続に乗せやすい
- 企業の一次情報(経験・現場の知見)が武器になる
- SEOだけでなく、営業・採用・広報にも同時に効く
- 自社メディアと二択ではなく「先にnoteで核を育てる」戦略が取りやすい
もし今、
「自社メディアを作るべきか」で社内が止まっているなら、
まずはnoteで“企業として積み上げるべき言葉”を出し始めるのがおすすめです。
次にやることは小さくで大丈夫です。
まずは、目的を1つに絞って、最初の10本のテーマを作るところから始めてみてください。